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2024.06.27

あの時のブラック企業は今!2014年にノミネートされた企業の2024年

2014年に発表された第3回ブラック企業大賞では、1ヶ月に時間外労働時間が100時間を超えるような過酷な長時間労働を強要した企業がノミネートされました。また、経営側によるパワハラが認定されたケースもあります。

対象となる企業は改善策を実施していますが、2020年前後になっても実質的には改善されていない状況は少なくありません。コロナ禍や労働人口の減少などさまざまな外部要因がある中、ブラック企業問題は日本社会が抱える根深い課題となっています。

2014年にブラック企業にノミネートされた5社

2014年の第3回ブラック企業大賞にノミネートされた企業の中で、次の5社がどのような理由で選ばれたのかを解説します。

  • ヤマダ電機
  • 大庄
  • JR西日本
  • 株式会社 A-1 Pictures
  • 秋田書店

出典:2014年の第3回ブラック企業大賞にノミネートされた会社・組織リストまとめ(GigaZINE)

ヤマダ電機

ヤマダ電気では、2007年に男性社員が月106時間以上と極端な労働をさせられ過労の末自殺をしました。さらに、退勤時点の打刻をさせないことをはじめ杜撰な管理体制も問題となったことがブラック企業にノミネートされた要因です。

しかし、福利厚生の充実をはじめ社員が長く働けるような体制作りに力をいれたことで、2022年にはホワイト企業として認定されました。

過労で自殺

日本で最大の家電量販店であるヤマダ電機において2007年に23歳の男性社員が過労を原因とした自殺をしました。この男性社員は正社員登用された後すぐにテックランド柏崎店のフロア長として管理職を任され、過酷な長時間労働を強いられていた状況です。

さらにこの男性社員は出勤時刻を打刻していたものの退勤時刻は打刻していないことが後々判明しました。長期間の長時間労働が原因となり、2007年9月19日に過労の末に社宅で首を吊って自殺しました。

長岡労働基準監督署の調べでは男性社員が亡くなる直前1か月間で、少なくとも月106時間以上の残業をさせていたことや、亡くなる直前の1週間では時間外労働時間が47時間30分と極端に長くなっていたことが発覚しました。

参考:ヤマダ電機、過労自殺社員の遺族が提訴 週間残業47時間、精神障害を発症か(Excite ニュース)

ホワイト企業として認定

ヤマダ電気では、すべての社員が長く安心してはたらけるように充実した福利厚生制度を展開しています。例えば、育児休業は法令では1歳までと設定されている中、ヤマダ電機では3歳までとしていることが特徴です。また、女性の取得対象者70名すべてが育休を取得しています。

育休以外にも時短勤務や介護の休業など福利厚生が充実して、女性にとっても長らく働きやすい環境であることが認められており、2022年にホワイト企業として認定されました。

参考:【家電量販店のホワイト企業ランキング】内定獲得のポイントも合わせて共有!(ホワイト企業ナビ)

大庄

大庄(日本海庄や)では、2007年に入社した新入社員が入社後4か月後に急性心不全で死亡しました。勤めた4か月間に1か月平均276時間、時間外労働時間は毎月平均112時間となっていたことが、社長や役員が賠償責任を問われた要因です。

大庄ではワークライフバランスを実現するための制度を導入した結果、2023年には労働環境が改善し、ワークライフバランスの実現に成功しました。

入社4か月で過労死

2007年、ある新入社員は賀県大津市の日本海庄や石山駅前店に配属されましたが、同年8月11日に急性心不全で亡くなりました。2008年12月に大津労働基準監督署が社員の死を過労死と認定したことで、両親は大庄に対して損害賠償を京都地裁に提訴し、裁判所は2013年5月に大庄や役員4人に対して約7860万円の支払いを命じる判決を下しました。

過労死の労災認定基準である月80時間を初任給の段階で残業代に組み込んでいたほか、が勤めた約4か月の労働時間は1か月平均276時間、時間外労働時間は毎月平均112時間だったと認定されました。このような事実を元にして裁判官は労働者の生命や健康に配慮した処置を取っていないと判断し、社長や役員に対して賠償責任を認定した結果となったのです。

参考:入社4カ月で過労死した「日本海庄や」社員の給与明細とタイムカード公開(My News Japan)

ワークライフバランスを実現するための制度導入

大庄では、ワークライフバランスの実現を目的として次のような制度を導入しました。

  • シングルマザー、シングルファーザー手当
  • 連続休暇取得の促進
  • 消滅有給休暇積立制度

参考:【お知らせ】社員が働きやすい環境づくりのための施策を実施します(大庄グループ)

2023年の時点でワークライフバランスを実現させるための取り組みによって、休みをとりやすくなっているようです。勤務時間も平均で9時間から11時間で、毎月の時間外労働時間も45時間以内と労働環境は改善されているといえます。

参考:株式会社大庄の働き方(enライトハウス)

JR西日本

JR西日本では、2009年に信号システムの保管業務をおこなっていた男性社員が、最長で月に250時間を超える時間外労働をしており、うつ病を発症し自殺しました。JR西日本は2023年にも規定を超える時間外労働や賃金未払いが発覚しており、大きな問題を抱えている企業の1つです。

長時間労働による自殺

JR西日本に2009年に総合職として入社した男性社員は、2021年6月から兵庫県尼崎市にて信号システムの保安業務を担当していました。労働環境は過酷であり、同年12月以降の時間外労働時間は毎月100時間を超えています。

長時間労働に加えて信号システムの保安業務は乗客の安全に直結する業務であり、この男性社員は肉体的にも精神的にも追い込まれていたこともあり、結果この男性社員はうつ病を発症し2012年10月に自殺をしました。

この男性社員の妻や両親は尼崎労働基準監督署に労災を申請をし、2013年8月には労災が認定されたことから、JR西日本を相手に総額1億9144万の支払いを求めて大阪地検に提訴しました。

参考:JR西:「自殺は長時間労働が原因」男性社員の遺族ら訴え(NPO法人 働き方ASU-NET)

労使協定違反の時間外労働

JR西日本では、中国統括本部でダイヤ作成をしていた社員と大阪鉄道病院の医師が労使協定の上限である月80時間以上の時間外労働をしていたと発表しました。このほかにも、賃金未払いがありJR日本では2023年でも大きな問題を抱えている現状です。

参考:JR西、労使協定超える時間外労働や賃金未払い 鉄道病院などで(朝日新聞デジタル)

JR西日本では、過労自殺や労災認定などの問題が続けて発生しており、労働環境の改善が求められています。

A-1 Pictures

東京都のアニメ会社である株式会社 A-1 Picturesに勤めていた男性社員が、極端な時間外労働が原因のうつ病により自殺をしました。最長で月に344時間になっていたと弁護側が主張しているほか、労基署でも100時間を超えていたとして労災認定をしたのです。

裁量労働制を採用し、2023年には仕事の状況によってはスケジュールを自分で設定できるようになりました。しかし、状況によっては深夜残業や泊まり込みもあり課題は残っている状況です。

月600時間労働で過労自殺認定

A-1 Picturesの元社員である男性が過労が原因となるうつ病を発症し、自殺し労災認定されました。2006年から2009年まで勤務していた中で、通院していた医療施設のカルテでは月に600時間労働していたと書かれていたことがわかっています。

新宿労基署では、うつ病を発症した2〜4か月前には100時間以上の時間外労働があったことを認定したほか、弁護側は多い時には344時間に上っていたとしてます。

参考:アニメ制作での過労自殺認定 労基署、カルテ「月600時間」(日本経済新聞)

裁量労働制を採用

A-1 Picturesでは裁量労働制を採用したことで、社員一人ひとりがスケジュールを設定可能です。担当作品の状況によっては、夕方出社や連休の取得もできるようです。しかし、放送が開始されると深夜残業が多くなる可能性があり、改善の予知が残されています。

裁量両労働制は労働時間の管理が曖昧になりやすいことから、極端な長時間労働を招く可能性があります。そのため、労働時間の適切な管理や業務量の調整など、今後も極端な長時間労働を防ぐための対策が必要不可欠です。

参考:株式会社A-1Picturesの口コミ一覧(ライトハウス)

秋田書店

秋田書店では、漫画雑誌の読者プレゼントの当選人数を水増ししていました。当時編集者をしていた女性が上司である編集長に止めるよう伝えたところ、継続を強要されたほか、プレゼントを盗んだとして不当解雇されたのです。2013年9月11日に女性は秋田書店や編集長を提訴し、2015年に和解しました。

景品水増し不当解雇

秋田書店で漫画編集者として勤務していた女性が、水増しをしていることによる景品表示の違法性を指摘したところ不当解雇されました。女性は上司に水増しをしていることをやめるように訴えましたが、不正の継続を強要されたほか景品を読者に送らず盗んだとして懲戒解雇されたのです。

女性は、秋田書店と編集長に対して東京地方裁判所に提訴しました。女性に賃金や損害賠償の支払いを求めました。この訴訟では、懲戒解雇が不当であるかどうか、編集長の女性に対する言動がパワハラにあたるかどうかが焦点です。

参考:「秋田書店による景品水増し不当解雇事件」についての勝利和解声明(東京法律事務所)

2015年に和解

秋田書店や編集長と不当解雇された元社員は、2015年に和解しました。秋田書店が賠償金を支払うことや女性が商品を盗んだとホームページに記載をした部分の削除をおこないました。この事件は通報した社員が不当に解雇されたことや企業のパワハラ体質も大きな問題です。

参考:「景品水増し」問題で秋田書店と元社員が和解(産経新聞)

まとめ

2014年の第3回ブラック企業大賞では、極端な長時間労働による社員の過労死や会社側によるパワハラなどが発覚した企業がノミネートされました。各社はこれらの事態を受け止め対策を表明しましたが、2020年以降も長時間労働やハラスメントが問題視される企業は後を絶ちません。ブラック企業の要因となる極端な長時間労働やパワハラなどに対して十分な対策をしているとはいえず、2024年になった現在でもブラック企業は日本社会における大きな問題となっています。

この記事の執筆者

ropro編集局-コラム編集担当

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