キャリアプラトーは、職場において昇進や昇格がしにくい状況もしくは自身でその状況を感じることによって、モチベーションが落ちたりキャリアアップの機会を失うことです。特に中年期において、キャリアプラトーがより顕著になります。中年期に差し掛かると、一部の人は組織内での昇進の余地が狭まり、モチベーションの低下につながることがあります。キャリアプラトーを乗り越えるためには、自身の見直しや新しいスキルの習得、上司とのコミュニケーションを積極的にとるようにするなどさまざまな対策が必要です。
目次
キャリアプラトーとは
キャリアプラトーとは、昇進や昇格をできず自信を持てないことからモチベーションが低下することです。また、能力開発の機会を失うことも含まれます。中年期はキャリアにおいて重要な時期であることから壁に当たりやすく、キャリアプラトーに陥りがちです。
キャリアプラトーに陥ると、個人は職場での達成感を得にくくなり、仕事へのモチベーションが低下します。これを克服するためには、定期的な目標の見直し、新しいスキルの取得などが必要です。
キャリアプラトーと昇進の関係性
キャリアプラトーは昇進できないとき、または昇進できないと感じたときに起こりがちです。近年はさまざまな昇進の形がありますが、以前は部長や課長になることが出世していると考えられていました。そのため、部長や課長などに昇進できないとキャリアプラトー状態に直結していました。
しかし、近年では昇進に対する価値観が多様化し、成功や達成感は単に組織内の階層構造だけでなく、個々の仕事におけるやりがいや自己成長にも関連しています。そのため、昇進だけがキャリアプラトーの原因ではなく、仕事全体においてやりがいを感じられない、希望の部署に異動できないなど、さまざまな要因がキャリアプラトー状態につながることが増えています。
キャリアプラトーになる原因
キャリアプラトーになる原因として次のようなものが挙げられます。
- 同じ部署で長期間勤務している
- スキルが足りていない
- ポストが足りていない
- キャリアの向上が見込めない
- 自信過剰または不足している
キャリアプラトーから脱却するためには、要因を明確にすることが重要です。
同じ部署で長期間勤務している
同じ部署で長期間勤務をしているとキャリアプラトーになりがちです。部署内での経験や知識の蓄積は重要ですが、一方で新しい刺激や挑戦が少なくなり、仕事に対するモチベーションが低下しやすくなります。これにより、昇進や新しい役割へのチャンスを逃しやすくなります。
特に同じ業務や職務に携わり続けることで、スキルや経験の幅が限定され、成長の機会が制約されることがあります。このような状況では、個人のキャリアプラトーが発生しやすく、仕事へのやりがいやモチベーションが減退する可能性が高まります。
スキルが足りていない
スキルが足りないことによって昇進がむずかしくなり、モチベーションが落ちる場合があります。仕事において必要なスキルや資格を持っていないと、上司や組織が期待する業務に対応できず、昇進への道がむずかしくなります。この状況に置かれると、従業員は自己成長や職務遂行に対する不安を感じ、自信を喪失することがあります。
特に急速に変化する現代のビジネス環境では、新たなスキルの習得が重要です。技術や業界の進化に対応するためには、継続的な学習とスキルの更新が求められます。例えば、デジタル技術の発展により、データ解析やプログラミングのスキルがますます重要視されています。これに対応できない場合、昇進しにくくなることがあります。
ポストが足りていない
スキルが十分にあってもポストが足りずに昇進ができないこともあります。組織内での階層がフラットであったり、昇進に必要なポジションが限られているなどの要因が影響しています。優れたスキルを持つ従業員が昇進のチャンスを得ることがむずかしいと感じると、モチベーションが低下する可能性があります。
なぜなら、個々の成果やスキルに見合ったポジションに進むことがむずかしくなり、将来へのキャリアプランが見えにくくなるためです。モチベーションの低下が続くと、業務への取り組みや組織への忠誠心にも影響が及び、効果的な仕事の遂行がむずかしくなります。
キャリアの向上が見込めない
キャリアの向上が見込めないこともキャリアプラトーの要因の1つです。キャリアの向上が見込めないと感じると、従業員のモチベーションが低下し、業務への積極性や会社への信頼感が下がることが予想されます。このような状況では、従業員は自らのスキルや経験を充実させ、キャリアを向上させることが求められます。
自信過剰または不足している
同じ業務に長く従事することは、専門性や経験を深める一方で自信過剰に陥りやすい傾向があります。これは、同じ仕事を長く続けていることで、自分のスキルや知識が十分に優れていると感じ、新しい情報やアプローチを受け入れにくくなることが原因の1つです。自信過剰になると、新しいスキルや知識を身に着けようとせず成長の機会を逃したり、周りからの評価が落ちたりする可能性があります。
また逆に、長く同じ業務をしていると段々と自信を失う人もいます。ルーティンのなかで新しい刺激が減り、成果が目に見えにくくなることで、モチベーションが低下し自分の能力に対する疑念が生じやすくなります。このような場合、自分の仕事に対する意義を再確認することが大切です。業務の目的や組織への貢献を振り返り、自分の存在価値を再認識することで、モチベーションを保つことができます。また、業務に新たなチャレンジを加えるか、自分のスキルを向上させるための学びの機会を積極的に見つけることも自信回復に向けた1つの対策です。
キャリアプラトーの対策
キャリアプラトーから脱却するためには、さまざまな対策方法が考えられます。何より必要なのは、まず自身の状況を把握することです。どのようなことが原因でキャリアプラトーになっているのかを理解したうえで、対策をすることが重要です。
自身の状況を把握する
キャリアプラトーの原因にはさまざまなものがあります。そのため、対策をするためには自身の状況を把握することが重要です。まず、自分の仕事に対するモチベーションや満足度を振り返り、どのような要因が変化を阻んでいるのかを明確にします。また、自分の強みやキャリアプランを再確認し、それらを活かせる新たな機会やプロジェクトを見つけることも重要です。
スキルを身につける
現在持っていないスキルを身に着けることで、自身が求めるような職務に就ける場合があります。まず、どのスキルが必要かを明確にし、それに基づいて学び始めることがポイントです。これに加えて、新しいスキルを実際の仕事に結びつけるためには、プロジェクトや課題に主体的に取り組むことが重要です。自身の成果物や実績を通じて、新たなスキルを有効にアピールできます。
そして、これらのスキルを持っていないことをネガティブに捉えず、むしろ成長の機会として前向きに捉えることで雇用主や面接官に対してもポジティブな印象を与えることが可能です。新しいスキルを身につけることで、自分が望む職務にスムーズに進むだけでなく、市場価値も向上させ、キャリアの可能性を広げることができます。
部署移動する
キャリアプラトーの原因は従業員がキャリアプランにおいて停滞状況にあることです。そこで、部署移動をすることで自身のスキルや経験をより活かしたり、やりがいと感じたりできる場合があります。部署移動を通じて、従業員は異なる業務やプロジェクトに関わり、新しいスキルを身につけるチャンスを得ることが可能です。異なる部署での経験は、従業員の視野を広げ、多様な業務に対応できる可能性を高めます。また、新しい環境での挑戦は仕事に対するモチベーションを高め、やりがいを感じるきっかけとなります。
ミドルシニア世代で転職をするための準備
ミドルシニア世代で転職をするためには、十分に準備をすることが求められます。主に必要となるのは次の2点です。
- 自分の強みを可視化
- 強みの落とし込み
20代や30代と比べてミドル世代は、経験や自分の強味をより求められます。そのため、自分の強みについて十分に熟知して相手に伝えることが重要です。
自分の強みを可視化
ミドルシニア世代が転職をするためには、まず自分の強みを可視化することが求められます。過去の経験や獲得したスキル、そして個々の専門知識を整理し、自己分析をおこなうことを指します。ミドルシニア世代は、これまでの職歴や実績を元に、ほかの世代よりも豊富な経験を持っています。
過去の仕事やプロジェクトでの成果やリーダーシップスキル、取得した専門知識などが含まれます。その後、これらの強みを効果的に伝える手段を見つける必要があります。この経験を的確に把握し、自らの強みとして位置づけることが、次のキャリアステップに繋げる第一歩です。
強みの落とし込み
自己分析をおこなったうえで、それを具体的な事例や実績に結びつけることで、面接官に自分の価値を魅力的に伝えることができます。たとえば、プロジェクトのリーダーシップ経験があれば、そのプロジェクトがどのように成功に導かれたのか、チームをどのようにまとめたのかを具体的に説明することが重要です。
また、特定の業界や分野での専門知識を生かした事例を挙げ、それが組織にどのような付加価値をもたらしたかをアピールすることも大切です。このような具体的な情報を用いて、ミドルシニア世代は自身の経験やスキルを生かし、自信をもって面接官に伝えることができます。
まとめ
キャリアプラトーに陥る原因は多岐にわたります。まず、仕事のモチベーションが低下し、新しいスキルや知識を獲得する意欲が減退することがあります。これにより、仕事に対する成果や楽しさが見えにくくなり、キャリアアップがむずかしくなります。また、組織内の変化や環境の変動に適応できない場合も、キャリアの停滞を招くことがあるので対策が必要です。
キャリアプラトーに立ちはだかった際には、自分の目標や価値観を見直し、新しい挑戦に向けて積極的に行動をすることが重要です。自己評価を正確におこない、柔軟性を持ちながらキャリアを積み重ねることでキャリアプラトーからの脱却につながります。