ブラック企業には、過剰なノルマや長時間労働、給与や残業代の不払い、ハラスメント行為などさまざまな特徴があります。これらの要素により、従業員は過酷な労働環境に置かれ、心身の健康に深刻な影響を受けることが一般的です。
ブラック企業は利益最大化を目的として、従業員を酷使したうえで個人の労働環境を改善しようとしないことから、多くの従業員が過労やメンタルヘルスの問題などを抱えていることが現状です。
目次
ブラック企業だと感じる特徴
ブラック企業は明確に対象が決まっているわけではありません。ブラック企業だと感じる職場の特徴として、残業代がでない、長時間労働がある、休みにくいなどが挙げられます。これらの要素がブラック企業での労働環境を特徴づけています。
画像引用:【ブラック企業だと思う職場の特徴ランキング】500人アンケート調査(株式会社AlbaLink)
ブラック企業で働いた経験
はたらこねっとにてブラック企業で働いた経験をアンケートしたところ、半数以上の人があると答えています。
画像引用:みんなの声レポート(はたらこねっと)
ブラック企業であると考えた理由として次の点が挙げられます。
- 雇用条件や待遇が違う
- 長時間労働が一般化している
- パワハラが横行している
画像引用:みんなの声レポート(はたらこねっと)
雇用条件や待遇が違う
もっとも多くの人が答えたのが、募集内容と雇用条件や待遇が違うといった点です。しかし、厚生労働省では募集内容についてはあくまで目安との位置づけのため違法にならない可能性があります。
ただし、就業前に提示される労働条件と実際の条件が違った場合は違法となるため、早めに労働基準局をはじめとして相談をすることが重要です。労働条件に関する問題は迅速に対処することが重要であり、早めに専門機関の助けを借りることで自分の権利を守ることができます。
長時間労働が常態化している
アンケートによれば、12時間勤務をした日が週に4日あり、体調を崩す従業員が少なくなかったとのことです。会社側の労働体系の問題でありながら、体調不良に対して従業員を責め立てています。このような状況では、労働者は本来の責任や問題の原因とは異なる形で責められ、不当な扱いを受けることになります。
パワハラが横行している
就業中水を飲んでいたりトイレにいったりすると嫌味を言われてしまったり、ミスをした人を終礼時につるし上げたりするなどパワハラが横行しています。また、セクハラについても改善されないケースも少なくありません。
労働環境において、性的な言動や行為が行われ、労働者が不適切な扱いを受けることがあります。これらの行為は法律で厳しく禁止されていますが、ブラック企業では改善されない傾向があります。
ブラック企業の従業時間や給与面での体験談
実際にブラック企業を体験した人のコメントによると、就業時間や給与面にて次のような体験をしていることがわかっています。
- 極端な残業時間
- みなし残業代の適用
極端な残業時間
ブラック企業だとわかったきっかけとして多いのが極端な残業時間です。規定の就業時間から1日あたり3時間くらいの残業は珍しくなく、場合によっては8時間を超えるケースもあります。
さらに、長時間労働による過労や健康被害を抱えていることも特徴です。適切な休憩や休日が確保されず、体力や精神的な疲労が蓄積されます。従業員は疲労がたまることからストレスをためやすくなり、従業員の健康が損なわれるだけでなく生産性の低下にもつながります。
みなし残業代の適用
ブラック企業に多く見られるのが、悪用したみなし残業代が給与体系に適用されていることです。みなし残業代とは、設定した残業時間分の給与までは基本給に含まれている点が特徴です。ブラック企業はみなし残業を悪用することにより、極端に長時間労働をさせているケースがあります。そのため、実際の基本給に直すと極端に給与が低いことが考えられます。
この給与体系は従業員にとって不利益なものであり、労働者の努力や時間に対する適切な報酬がされていないことが特徴です。実際には多くの残業をこなしているにもかかわらず、給与面では公正な評価がなされず、労働者の収入が不十分になりやすくなります。
ブラック企業の人間関係における体験談
ブラック企業は契約面や給与面だけでなく、次のように人間関係においても従業員に悪影響を与えています。
- パワーハラスメント
- 同僚との関係性
- 新人に対する風習
- 仲間意識
パワーハラスメント
上司から過度な指示命令やパワーハラスメントを受けることが多い点もブラック企業の特徴です。従業員は上司の言いなりにならなければならず、個人の意見や成長が抑制されます。
このような状況であれば、上司の専制的な態度や過剰な要求に対応するために、従業員のメンタル面に大きな負担がかかります。さらに、うつ病や不眠症といったメンタルヘルスの問題の発症や、日常生活にも影響のある可能性があります。
同僚との関係性
ブラック企業の特色として、上司や役職者に対して文句をいわないイエスマンが多い点が特徴です。長らくブラック企業で働いている人は、会社の方針に従っている人が多く、従業員との関係性も決して良いとはいえません。
イエスマンの存在は、組織内のコミュニケーションや意思決定プロセスにおいても問題を引き起こすことがあります。意見やアイデアの多様性が欠如し、イノベーションや改善の機会が制限されることが少なくありません。
新人に対する風習
ブラック企業は体育会系の風習であることが多く、新入社員は早い時間に出社を強要させられる場合があります。さらに、タイムカードを打刻できないことから残業代も発生しない点もブラック企業の特徴です。
朝の早い時間に出社させられることで、労働者は睡眠不足や健康問題を抱えることになります。さらに、適切な残業代を受けとれず、サービス残業となっていることが少なくありません。
仲間意識
ブラック企業は、仲間意識を主張する傾向にあります。従業員の親睦を深めるために頻繁に飲み会が実施されることがありますが、欠席をするといじめにあったり査定に影響がでたりなどする場合があります。
ブラック企業では、飲み会や社内イベントへの参加が仕事上の義務の一部とみなされ、欠席は非難や嫌がらせの対象になることがあります。
ブラック企業の現場での体験談
実際に就業してからも、次のような状況ではブラック企業である可能性があります。
- 従業員を放置している
- 失敗して叱られる
従業員を放置している
ブラック企業の特色として従業員を放置していることが挙げられます。人に教えるといった環境がなく、何も教えられないままいきなり現場に出ることも少なくありません。従業員は何も教えられずに結果として従業員の負荷が増大し、ミスやストレスが引き起こされる可能性があります。
失敗して怒られる
ブラック企業では何も教えてもらえないばかりか、ミスをすると怒られる傾向があります。労働者が何もわからないまま怒られ続けるため、メンタルがやられてしまう点が特徴です。このような環境では、労働者は自信を喪失し不安やストレスに苦しむことが少なくありません。
ブラック企業から抜け出すためのポイント
ブラック企業から抜け出すのは、経済面や家庭の事情などにより容易ではない場合があります。ブラック企業に長期間留まらないために次のようなことが必要です。
- 退職を判断する基準を明確にする
- 退職は法的な権利であることを把握する
- 必要なサポートを受ける
退職を判断する基準を明確にする
ブラック企業から抜け出すにあたり、退職を判断する基準を明確にすることが重要です。ブラック企業に長く勤めていると感覚が麻痺してしまい、退職するべきかどうかわからないことがあります。
そこで、給料や残業代の未払い、過度な労働時間が続いている、ハラスメント行為が多いなど退職すべき基準を把握することが重要です。ハラスメントが多い職場では、心身の健康を損なう可能性があります。
退職は法的な権利であることを把握する
ブラック企業を辞めるときに妨害されたらと考えることで抜け出せない人もいます。しかし、退職することは法的に認められた権利であり、話し合いができない場合は退職届を内容証明で送付することも可能です。退職届を内容証明で送ることによって退職の意思を真摯に伝えたことが証明され、妨害やいやがらせに対して法的な対応ができるようになります。
第627条当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合にて、雇用は解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。
必要なサポートを受ける
退職をすることは法的に認められた権利です。そのため、労働基準監督署をはじめとした労働相談の機関で相談できます。専門家に相談することにより、メンタル面や健康面を安定させることが可能です。
さらに、カウンセリングや労働相談の機関は、退職後のキャリアアドバイスや再就職支援もおこなっています。一人で悩まず、専門家のサポートを受けながら退職後の新たなスタートを切ることができます。
まとめ
ブラック企業で働くことは、従業員にとって身体的・精神的な負担が非常に大きいものです。長時間労働により過労やストレスが蓄積され、うつ病や不眠症などのメンタルヘルスの問題が発生するリスクが高まります。
さらに、不適切な労働条件や報酬のために生活の安定性や家庭生活にも悪影響を及ぼすことがあります。ブラック企業に対しては社会全体で向き合うことが必要であり、より健全な労働環境を作り上げることが必要です。