企業口コミサイトを活用することで、従業員や元従業員、求職者、消費者のリアルな声や評判を知ることができます。しかし、投稿内容の信憑性や正確性、最新性には課題も多く、そのまま信用することはむずかしいのが実情です。
しかし、うまく活用することで求職者にとっても企業にとってもプラスに作用する有益なサイトです。今後も新しい情報源として重要性を増していくことが予想されます。そのため、企業側は、適切な対応をおこない、積極的に活用することが求められます。
目次
企業口コミサイトとは
企業口コミサイトとは、従業員や元従業員、求職者、消費者が企業に対して投稿する口コミサイトのことを指します。主に採用情報や企業情報、商品やサービスに関する情報などを共有するために活用されています。そのため、企業口コミサイトは求職者や消費者が情報収集する場として重要な役割を果たしています。
企業口コミサイトが注目される理由は、リアルな声や評判を知ることができる点にあります。企業側が公開する情報だけではなく、現職の従業員や元従業員の声を通じて、企業の実態や仕事の雰囲気、待遇面などがわかります。消費者も、商品やサービスに関する評判を知ることができるため、選択肢を広げることができます。
代表的な企業口コミサイトとして、次のようなサイトが挙げられます。
- 転職会議
- open work(旧vorkers)
- ライトハウス(旧:カイシャの評判)
- キャリコネ
- はたらくホンネ
- indeed(企業口コミ)
- jobQ
- 楽天みんなの就活日記(みん就)
- 就活会議
- one career
企業口コミサイトの種類
企業口コミサイトには、大きく分けて3つの種類があります。
一般的な口コミサイト |
従業員や元従業員、消費者などが投稿する口コミサイト。主に求職者や消費者が情報収集する場として利用されています。 |
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キャリアサイトの口コミ欄 |
転職サイトのような求人情報サイト内に設けられた口コミ欄です。求職者が情報収集するための場として利用されています。 |
業種特化型の口コミサイト |
特定の業種に特化した口コミサイトです。業種に特化した情報収集をしたい求職者や消費者に利用されています。 |
また、企業の情報が口コミによりわかるという広義の意味では、googleマイビジネス(googleビジネスプロフィール)や食べログ、エキテンのようなサービスも口コミサイトに含まれます。
企業口コミサイトで得られる情報
企業口コミサイトで得られる情報には、以下のようなものがあります。
企業の実態や仕事の雰囲気
企業口コミサイトに投稿された従業員や元従業員の声から、企業の実態や仕事の雰囲気を知ることができます。自分に合った職場環境を探す際には重要な情報となります。
待遇面や福利厚生
企業口コミサイトに投稿された情報から、企業の待遇面や福利厚生に関する情報を得ることができます。これらの情報を比較することで、自分に合った企業を選ぶことができます。
求められる人材やビジョン
企業口コミサイトに投稿された情報から、企業が求める人材やビジョンに関する情報を得ることができます。自分のスキルや志向に合った企業を探す際には、重要な情報となります。
従業員の声
企業口コミサイトで投稿された従業員の声を聞くことで、実際に働いている人たちがどのように働いているかを知ることができます。そのため、自分が入社した場合に、どのような職場環境で働くことになるのかを把握することができます。
企業の特徴
企業口コミサイトで投稿された情報から、企業の特徴を知ることができます。例えば、企業がどのようなビジョンを持っているのか、どのような福利厚生があるのか、どのような人材を求めているのかなど、重要な情報を知ることができます。
企業口コミサイトのメリットとデメリット
企業口コミサイトを活用するメリットは、以下のような点が挙げられます。
- 実際に働いた人や商品・サービスを利用した人のリアルな声が聞ける
- 企業側が公開している情報だけではなく、情報の幅が広がる
- 求職者や消費者が情報収集する場として利用できる
- 企業側も、従業員の声を通じて改善点を把握することができる
一方で、企業口コミサイトのデメリットやリスクも存在します。
- 誹謗中傷や偏見、嘘の投稿があるため、信頼性に問題がある
- 従業員や元従業員、消費者のプライバシーに関わる情報が漏洩する可能性がある
- 企業側が対応しなければ、悪意のある投稿が氾濫する可能性がある
以上のようなリスクに対して、企業は対策を講じる必要があります。
メリット
リアルな声がわかる
企業口コミサイトには、実際に働いている従業員や元従業員、商品やサービスを利用した消費者のリアルな声が投稿されています。そのため、企業側が公開する情報だけではなく、さまざまな立場の人々が投稿することで、情報の幅が広がります。
特に内部の人間にしかわからないような人間関係、情報の取り扱い、出世の方法、問題点などが書き込まれていることは非常に有益です。ただし、かなりセンシティブな情報を扱っていることも散見され、書き込みを100%そのまま信じることは避けたほうが無難です。
企業選定に利用できる
自分に合った企業を選ぶためには、求職者自身が自分の嗜好や志向に合った企業情報を得ることが必要です。企業口コミサイトを活用することで、自分に合った企業を選ぶことができます。また、求職者が自身の能力を活かし、やりがいを感じながら働くことができることは、企業にとってもメリットがあります。
情報収集の場として利用できる
企業口コミサイトは、求職者や消費者が情報収集するための場として活用されます。リアルな声や評判を知ることができるため、自分に合った企業や商品、サービスを選ぶことができます。
従業員の声を改善につなげることができる
企業口コミサイトに投稿された従業員の声は、企業側にとっても貴重な情報源です。従業員の意見を聞くことで、企業側は改善点を把握することができます。従業員の声に耳を傾け、改善策を実施することで、従業員のモチベーション向上や離職率の低下につなげることができます。
社内で匿名のサーベイやアンケートを取っても一切情報が上がってこない場合であっても、匿名掲示板や口コミサイトであれば忖度のない意見が書かれているため、ある意味では非常に信用できます。
採用につながる
企業口コミサイトでの評判が良ければ、求職者からの応募数が増え、採用につながることがあります。また、企業が求める人材像や、待遇面に関する情報が公開されていることで、求職者の自己申告の機会を増やすことができ、採用につながる可能性が高まります。
デメリット
信頼性に問題がある
企業口コミサイトには、誹謗中傷や偏見、嘘の投稿があるため、信頼性に問題がある場合があります。真実である場合であっても、特定の人に依存する情報であったり、主観が強すぎたり、悪意のあるように見える書き込みもあります。企業名が似ている場合には、他社の情報が書き込まれていることもあり、第三機関である口コミサイトといえども、そのまま信用することはむずかしいことがあります。
従業員の情報が漏洩する可能性
企業口コミサイトに投稿する場合、個人情報を書き込むことがあるため、プライバシーに関する情報が漏洩する可能性があります。個人情報を書き込まない場合であっても部署名や役職、性別などにより、社内にいる人にとってはかなりわかりやすく特定できることもあります。個人情報ではなくとも事実上の個人の動き、考え方、勤務状況などが外部に書かれているという状況は看過できません。
しかも、企業側で口コミを見つけ、口コミ管理サイトに情報の削除を求めても必ずしも対応してもらえるとも限らないため、利用者のモラルが問われます。
企業口コミサイトの信憑性を見極めるポイント
企業口コミサイトには、信頼性が問われる投稿も存在します。信憑性を見極めるためには次の4つの観点で確認することです。
- 投稿者情報を確認する
- 複数のサイトでチェックする
- 内容の偏りを確認する
- 企業検証サイトも利用する
投稿者情報を確認する
企業口コミサイトには、従業員や元従業員、消費者など、さまざまな人が投稿しています。そのため、投稿者のプロフィールを確認し、信頼性を判断することが大切です。一般的な口コミサイトには投稿者のプロフィールページはありませんが、職種、在籍年数、中途/新卒、性別、書き込み日などからある程度の情報がわかります。
特に古い情報であれば、以前とは社内事情が変わっている可能性も高く、当時の情報をそのまま信じることはできません。有名な事例では、ワタミ株式会社は2013年にブラック企業大賞を受賞しましたが、後に2020年にホワイト企業大賞の特別賞を受賞しています。
複数のサイトでチェックする
1つのサイト、1つの投稿だけでなく、複数のサイトや投稿を見比べることで、情報の正確性を確認することができます。特定の大手口コミサイトに情報が集中していることが多いため、最低でも2つか3つのサイトの情報を確認して情報を精査するようにしてください。
内容の偏りを確認する
偏りのある投稿は、その人の個人的な感情に基づくものが多く、全体的な評価としては信頼性が低くなります。複数の人が同じようなことを書いている場合には、それだけ信憑性が高くなります。
ただし、口コミサイトは既に退職した元従業員の書き込みも多く、必ずしも正の感情だけを持っているわけではない人からの書き込みもあります。情報には偏りがあること、書き込みには主観が強い可能性を考慮して参考にする必要があります。
企業検証サイトも利用する
ropro(ロプロ)のような企業検証サイトは口コミサイトに書かれている内容が真実かどうかを検証して公開している情報サイトです。調査方法により内容は変わってきますが、匿名の書き込みに対して企業からの回答を受け取っているので一定の信憑性は担保されているといってよいはずです。
企業口コミサイトの正しい使い方
企業口コミサイトを正しく活用するためには、以下のような方法があります。
情報収集
企業口コミサイトには、従業員の働き方や待遇、会社の雰囲気など、求職者が知りたい情報が投稿されています。企業側は、求職者が欲しい情報を提供することで、求職者の採用意欲を高めることができます。
悪評対策
企業口コミサイトでの悪評に対しては、企業側が適切な対応をおこなうことが必要です。投稿者に対して、問題解決のための対応をおこなうことで、信頼性の高い企業としての評価を得ることができます。
コミュニケーションの場
企業口コミサイトは、求職者や消費者とのコミュニケーションの場としても活用できることがあります。投稿内容に対して、企業側からの返信をおこなうことで、コミュニケーションを図ることができます。投稿者からの質問に対して丁寧に回答することで、信頼性の高い企業としての評価を得ることができます。
企業口コミサイトを活用して採用成功を目指す方法
企業口コミサイトを活用することで、採用成功を目指すことができます。具体的には、
口コミサイトでの情報収集
求職者が企業口コミサイトを利用することで、企業に関するリアルな情報を得ることができます。企業側は求職者が欲しい情報を提供することで、採用につなげることができます。書き込みを制御することはむずかしいものの、EIS(Employee Impressive Satisfaction、従業員感動満足度)を意識して社員に接することは口コミサイトにもプラスに作用し、採用ブランディングが促進されます。
口コミサイトを採用活動に活用する
企業口コミサイトで投稿された情報を、採用活動に活用することができます。求職者が知りたい情報や、企業の魅力などを、自社の採用サイトや求人広告などでアピールすることができます。
口コミサイトでの評判管理
企業口コミサイトでの投稿内容に対して、企業側は適切な対応をおこなう必要があります。悪評がある場合は、改善策を打ち出すことで、採用成功につなげることができます。ただし、口コミサイトには改善した内容が書かれることは非常に稀です。タイムラグがあることと改善したということが従業員に伝わりづらいためです。このような場合には企業検証サイトも同時に利用する必要があります。
まとめ
企業口コミサイトを活用することで、従業員や元従業員、求職者、消費者のリアルな声や評判を知ることができます。しかし、投稿内容の信憑性やプライバシーに配慮することが必要です。
企業側も、企業口コミサイトを積極的に活用し、求職者や消費者とのコミュニケーションを図ることで、採用ブランディングや顧客満足度の向上につなげることができます。また、企業口コミサイトで得られる情報を採用活動やマーケティングに活用することで、競合他社との差別化を図ることができます。
今後も、企業口コミサイトは、求職者や消費者にとって重要な情報収集の場として、また、企業側にとっても、顧客や従業員とのコミュニケーションの場として、ますます重要性を増していくことが予想されます。そのため、企業側は、適切な対応をおこない、積極的に活用することが求められます。